Product Description
酒場玄進(さかばみちゆき)製作の19世紀ギターになる。
製作者のプロフィールは、当店が所有する資料や現代ギター誌のバックナンバー…等々でも探し出せなかった。
本器の各部サイズをお知らせすると。
〇弦長625㎜ 18フレット仕様
〇全長935㎜
〇ナット幅45㎜
胴幅については、上部最大245㎜、くびれ部分186㎜、下部最大313㎜の数値になる。
12フレット上の弦高は、6弦側3.8㎜、1弦側3.4㎜、になるが弦高調整は可能。
外部の各サイズはほぼフレンチタイプの19世紀ギターに近いが、内部の力木の構造はまるで違うものになる。
まずは裏板だがブックマッチ方式ではなく、非常に贅沢にメイプル材の一枚板になっており、当然ながら中央に貼る裏板補強材はない。
裏板の横を走る裏板力木は上から1本・2本・3本で通常通りだが、画像にあるように、第1力木から上部、第2と第3力木の間、第3力木の下部、等々に規則正しい波形ように加工してある。
表面板裏の力木は5本の扇型力木(タコ足)だが、そのタコ足の間を裏板と同じく加工してある。
ボディの振動をより大きくする為の工夫と思うが、非常に手間がかかる凝った構造になっている。
ただギター全体の工作精度は正直言ってやや甘い。
ベテラン製作家のような細部にいたるまで精緻な作りとは言い難いが、肝心な音については暖かでよく通る美音である。
フレットや指板を見てもあまり弾き込まれたギターではないので、新しいギターにあるような少し音があばれる感じはあるが、本器の音は表情が豊かで簡単なエチュードや小品でも
魅力的に響き、それらの中にも新鮮でよりよき音楽を再発見できるように思う。
状態については、弾き傷や打痕はほとんどなく割れ補修など重大なものもないが、ラッカー塗装故のウェザーチェックの発現がある。
また本器の弦留め方法は「ピン留め方式」になるが、紛失によるものか6個のピンのうち1個は前オーナー様の手作りのものが付いている。
(ピンについては100円ショップなどで販売されている木製工作材料の「6㎜径のダボ」を少し加工すれば代用できる。
また器用な方であれば自作も簡単と思う。)
最後に本器の使用材だが、良材の不足がより顕著になった2000年代目前でも非常に贅沢な良材が使われており、これは本器の魅力の一つと思う。
※本器はサイズが特殊なためオリジナルの専用ハードケースが付属する。