商品説明
70年代中期のSヤイリのクラシックギターである。 型番はSY30で、二人の天使が描かれた凝ったラベルが貼られている。 この当時、アコギの世界では圧倒的なブランド力と完成度の高さを誇った名器 YDシリーズと並行して販売されていたと思う。 いわば、YDシリーズの影に隠れる形で、ひっそりと販売されていたこのSYシリーズであるが、楽器としての完成度の高さはYDシリーズと比べ何ら遜色はなく、さすがは Sヤイリと言うべきか。 このSYシリーズの特徴的な事は、アコギのYDシリーズがマーティンスタイルのオーソドックスなもの一辺倒であるのに対して、ボディサイズや弦長などクラシックギターの根幹に係わる部分のバリエーションが多い事である。 当店で過去に扱ってきた個体を見ても、ネックがうすくナット幅の小さいもの、ボディサイズが通常はタレガ・トーレスと呼ばれる小型トーレスに近いものなど、自分が知る限りでは様々なバリエーションがある。 本器については、やや薄めのネック、ナット幅も51.5㎜と中庸で、当時のクラシックギターとしては非常に弾き易く作られている。 使用材も希少なもので、トップは木目が詰まり、かつ交差目(杢)が一面に出た粘りのある良質なスプルース(単板)、サイドはローズウッド合板、バックもローズウッドで木目は表裏が合致しており単板の可能性もあるのだが、Sヤイリの技術力であれば合板でも木目を合わせる事など容易であろう。 アコギのYDシリーズとは違い、当時のカタログ的な資料がなく、仕様の裏付けが取れない事から、一応当店の見解としては、サイド&バックは合板仕様としておく。 状態としては、ごく僅かなウェザーチェックや年代相応の小傷はあるが割れ補修などの重大なものはなく年代相応の平均的な状態と思う。 あとスペック的にはローズ指板なのが惜しい気もするが、音色・音量そして使用材のレベルから判断すればコストパフォーマンスは非常に高いと思う。
※付属するハードケースは大変古く、通販の際には輸送用として使える程度であることを、予めご了承ください。