商品説明
マヌエル・コンダル工房は、1980年初頭までスペインのバルセロナにあったギター工房。
海外のサイトでは、Taurus(タウルス)との組み合わせで紹介されている事が多く、タウルスギターの創業者もしくはその一族と深い関係があるのかもしれない。
また同じく海外のサイトでは、1980年代初頭に製作されたギターが紹介されているが、それを最後に、タウルスと同じく遅くとも1982年には廃業されている。
本器コンダルは、タウルスと比べると、やや精度の高い丁寧な作りで、あきらかにタウルスの上位ブランドと思われる。
ボディは、トーレスを意識したようなやや小振りのサイズで、一本棹のスペイン式ネックジョイントの採用はもちろん、ラミレス1aのようにネックの順方向に少し角度をつけたネックの仕込み角度など、古き良き時代の典型的なスペインギターの様式を示している。
肝心の音については、明るさと哀感が表裏一体となったような個性あふれる音で、小振りなボディとは思えないほど音量がある。
昨今は、スペインギターと名を打っていても、実質は中国製スペインギターが溢れ、あれもそう、これもそうか、と驚くばかりである。
以前に、あるご縁で中国ギターメーカーでは老舗のアイリーン社の情報をお聞きしたが、その際にお聞きした中国のギター・メーカーの数は、2000社とも3000社ともいわれる。
日本で最盛期と思われる60年代から70年代のギター・メーカーの数は、ざっと200~300社といわれているので、その10倍は軽くある。
中国国内での需要はあるだろうが、それでも膨大な数のギターがOEM生産され全世界に流れ出しているのが実情と思う。
スペインブランドだけではなく、中国製フランスギターや、ご存知の方もおられると思うが、邦人名のついた中国製の日本手工ギターなども既に存在する。
ヤマハや現在の松岡良治ギターなどは、ラベルにメイドイン・タイワン、メイドインチャイナと堂々と明記し、実質的な品質の高さとコストパフォーマンスで製品訴求されているのは、やはり企業のあるべき姿と思う。
最後に本器の状態であるが、年代相応の弾き傷&打痕もあり、センターシームには補修歴(埋め木をされ、かつ丁寧に補修されているので、強度的にも何ら支障はない。)もあるので、決して美品とは呼べないものであるが、音色・音質・音量は素晴らしく、本物のスペインギターのみが持つ歴史と伝統が生み出した音と思う。